ヴェネツィア国際映画祭って、どんな映画祭?
ヴェネツィア国際映画祭は、イタリアのヴェネツィアで毎年8月末から9月初旬に開催される映画祭です。
フランスのカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭と並んで世界三大映画祭のひとつとして数えられ、世界最古の歴史を持つ由緒ある映画祭です。
この映画祭で贈られる賞としては、金獅子賞(最高作品賞)、銀獅子賞 (監督賞)、男優賞、女優賞などがあり、世界の映画人がこの栄えある賞を獲得すべく日夜、切磋琢磨して優れた映画作りに励んでいます。
日本映画で、かって金獅子賞を受賞した作品は?
これまで日本映画がこの映画祭で金獅子賞を受賞した作品は、
1951年 ⿊澤明監督の『羅⽣⾨』
1958年 稲垣浩監督の『無法松の⼀⽣』
1997年 北野武監督の『HANA-BI』の3本で、それぞれの映画の質の高さが評価されました。

『羅生門』

『無法松の⼀⽣』

『HANA-BI』
2017年ヴェネツィア国際映画祭で、金獅子賞を受賞する作品は?
2017年はどんな映画がノミネートされるのでしょうか?
現在のところ、作品賞に世界各国から21本の映画がエントリーしており、どれも傑作揃いでどの映画が最高賞の金獅子賞を獲るのか中々予想するのも難しい状況です。
日本からは、福山雅治、役所広司、広瀬すず出演の『三度目の殺人』がエントリーしており、結果がどうなるか楽しみです。
以下に、今回ノミネートされている映画の中から、独断と偏見ですが5つ選出してみました……
ノミネート1:大本命『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI』(英・米国)
(娘を殺された母親が、警察に戦いを挑む!) 個人評価:★★★★★
出演:フランシス・マクドーマンド(アカデミー主演女優賞受賞)、ウディ・ハレルソン(アカデミー賞ノミネート)
物語:娘が殺されてから数ヶ月が経過したにも拘わらず、一向に犯人が逮捕される気配がないことに業を煮やした母親(フランシス・マクドーマンド)が、地元警察に抗議するために3枚の広告掲示板(THREE BILLBOARDS)を道路際に設置する。
当然、それをよく思わない警察と母親との間で争いが起きることになるが……
感想:アカデミー主演女優賞のフランシス・マクドーマンドが、どこにでもいる50代の母親を演じ、警察に戦いを挑んだ後の強い女に豹変する演技力が抜群で、「啖呵」を切るセリフも小気味よい!
ノミネート2: 『mother!』(米国)
(平穏な夫婦の生活は謎のカップルの訪問で、乱されることに!)
個人評価:★★★★☆
出演:ジェニファー・ローレンス、ミシェル・ファイファー、ハビエル・バルデム、エド・ハリス
物語:人里離れた田舎の家で夫(ハビエル・バルデム)と暮らしている妻の(ジェニファー・ローレンス)の平穏な生活は、謎のカップルの訪問により乱され、夫婦の関係が試されることになるが……
感想:『The Hunger Games』で主演したジェニファー・ローレンスが、平穏な生活が一変、ミステリアスな出来事に翻弄され、夫を疑い始める役を好演!
映画のポスターもショッキング!
ノミネート3: 『三度目の殺人』(日本)
(犯行の裏に秘められた真実とは?) 個人評価:★★★☆☆
出演:福山雅治、役所広司、広瀬すず
物語:殺人の前科がある三隅(役所広司)が、工場の社長を放火し、殺人。犯行も自供し死刑はほぼ確実。弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ち込むため調査を始めるが、この犯行に関して従来の事件には無い違和感を持ち始める。
弁護に真実は必要ないと信じていた勝ちにこだわる弁護士が、初めて心の底から真実を知りたいと願い始める。
やがて、三隅と被害者の娘(広瀬すず)の接点が明らかになり、新たな事実が浮かび上がるが……
感想:役所広司演ずる犯人の心に深い闇を抱える役どころと、最初は裁判を簡単に考えていた弁護士が次第に心底真実を知りたいと願うプロット、そして最後の結末が、どの様に審査員の心を捉え評価に繋がるかが受賞のポイント!
ノミネート4: 『Lean on Pete』(英国)
(傷心の少年と、かつての競走馬との出会いと心の交流を描く)
個人評価:★★★☆☆
出演:チャーリー・プラマー、スティーヴ・ブシェミ
物語:15歳の少年チャーリー(チャーリー・プラマー)は、シングルファザーと一緒に生活しているが、父親の職が安定せず、住む家も、その日の食事も、学校にいくのもままならない状態の生活を送っている。
そんなある日、父親が安定した職を見つける為、一緒にオレゴン州のポートランドに移る。そこでチャーリーは夏のアルバイトとして牧場で働くことになり、そこでかつて競走馬だった“Lean on Pete”に出会い親友となるが……
感想:少年の暗い生活を描く前半と、オレゴンに移ってからの自然との触れ合い、馬との交流など温かみのある後半のストーリーのバランスが見事な作品!
ノミネート5: 大穴 『HUMAN FLOW(人流)』(独・米国)
(中国のアイ・ウェイウェイ氏が難民問題の核心に迫るドキュメンタリー映画!)
個人評価:★★★☆☆
物語:中国の現代芸術家アイ・ウェイウェイ氏が難民問題を追ったドキュメンタリー映画。この作品は、1年間にわたってアフガニスタン、バングラデシュ、パレスチナ、セルビア、スイス、シリア、タイ、トルコなどの22カ国以上で撮影が行われ、叙事詩的な映像で今日の世界的な難民危機の状況と、それにまつわる人々を映し出し、人権の価値に対する深い信念をベースに制作されています。
感想:今日、世界中で人類が向き合っている難民問題に焦点をあてて、真正面から取り組んだ姿勢の映画に対して、審査員がどのように評価し、結論を出すのか関心が持たれます。もしかすると、大穴になるかも!
まとめ
2017年のベネチア国際映画祭もいよいよ始まりますが、ノミネートされた映画はどれも傑作揃いですね。
それぞれの作品は、出品国の映画人が心血を注いで制作し、大きく言えば国の名誉を掛けて出品しているので、どの映画が金獅子賞を初めとした賞を獲得するかまったく余談を許しません。
日本からのノミネートの作品 『三度目の殺人』にも、朗報が届くと良いですね!