最近では、日本も大盛り上がりを見せるハロウィン。元々は秋の収穫を祝い、悪霊などを追い払うという宗教的なヨーロッパ発の行事でした。
けれどメキシコでは元来の意味をそのままに、ハロウィン翌日から盛り上がりを見せるお祭りがあるのをご存知ですか?街中が骸骨で溢れる「死者の日」。しかも無形文化遺産に登録された、世界最大級のお祭りなんです!
響きはおどろおどろしいけれどとっても賑やかなこの「死者の日」に、生きてるうちに行ってみることにしました。
死者の日って何?
メキシコにおける死者の日は、ご先祖様の魂がこの世に帰って来るとされる日を11月1日と2日とされています。そう、日本でのお盆によく似ていますね。
けれどもせっかくご先祖様が帰って来るのだからと、とにかく陽気に賑やかにお祝いするのがメキシコ流。そんなメキシコならではの死者の日を、詳しくお伝えしますね。
何をするの?
死者の日には家族や友人が故人を偲んで集い、生前の思い出などを語り合います。その際にオフレンダと呼ばれる祭壇に、故人の遺影、十字架、花や砂絵などを飾り、故人の好物などの食べ物やお酒を供えます。ここまでは日本のお盆と同様。
それに加えメキシコでは、公園に露店が立ち並び、バンド演奏が行われたり、夜間には装飾が施された墓地を巡ったり、人々が思い思いの骸骨の仮装で街を練り歩いたりと、とにかく陽気で楽しいお祭りなんです!
メキシコ国内では、この日のために一年がかりで準備をするそうで、まさに映画「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の世界ですね。
カボチャじゃなくてマリーゴールド
オフレンダと呼ばれる故人を偲ぶ祭壇は、お家の中だけでなく街の中や公園などにも飾られるので、観光客でも見ることが出来るのです。
1日には子供、2日には大人の魂が帰って来ると考えられているので、お供え物もお菓子からお酒へと変わります。ここに飾られる花は、主に死者の花と言われるマリーゴールドやケイトウ。
特にマリーゴールドは死者の魂を運んで来るとされ、メキシコでは死者の日に向けて大量に消費されます。前夜祭が行われる週から当日にかけて、街中がマリーゴールドのオレンジ色に染まります!
ハロウィンのカボチャみたいなオレンジは、実はマリーゴールドだったのですね。
なんで骸骨?
死者の日のシンボルとも言える骸骨。ドクロを模したお菓子や人形が溢れ、パレードに参加する殆どの人が骸骨の仮装やスカルメイクを施します。これは元々メキシコに、ご先祖様の骸骨を身近に飾る習慣があったから。
メキシコでは死とは怖れるものではなく、生があれば必ず訪れるもの。「死は生の一つの形であって、何も怖れることはない」という概念から、骸骨は死と生まれ変わりの象徴だったそう。
そんな象徴として、他者(多くの場合敵)の骸骨もトロフィーのように扱われていたといいます。骸骨を飾ったり、骸骨になったりするのは、生と死を繋ぐこの日の象徴でもあるんですね!
ハロウィンが前夜祭
死者の日の前夜祭は10月31日。ちょうどハロウィンに当たります。クリスマスもイヴの方が街が盛り上がるように、街でのパレードやイベントもこの日から賑わいを見せます。
また日本でのハロウィンと同様、当日が平日だった場合には、一番近い週末にパレードが行われる街もあるとのこと。この前夜祭、いつ何処へ行けば何が見れるのかを、それぞれお伝えしますね。
アオハカで前夜祭
メキシコの死者の日と言えば、このアオハカが有名です。世界遺産の街アオハカは先住民の割合が高く、その文化の一つである死者の日もここでは一際の賑わいを見せます。
カレンダー通りに伝統
先住民の伝統的なお祭りであった死者の日。その原点アオハカでは、死者の日もカレンダー通りの運行です。ハロウィンには前夜祭、11月1日2日で故人が帰って来るのを祝います。
ですが死者の日にまつわるイベントは、一週間ほどの間、市内のあちらこちらで見ることが出来ます。前夜祭には先ほどもお話ししたオフレンダや、装飾された墓地を巡ってみるのも楽しみのひとつです。
メキシコシティ ベニートフアレス国際空港から
アオハカ ホホコトラン国際空港まで約1時間
空港からアオハカ市街地までは専用乗合いタクシーで20〜30分ほど
メキシコシティで前夜祭
メキシコシティでは2016年から死者の日をテーマにしたパレードが行われるようになりました。陽気なことと賑やかなことはアオハカと同様ですが、自分もパレードに参加したい!という方ならこちらがお勧め。
ですがご注意を!このパレードは10月31日が平日だった場合、一番近い週末の行われるのです。しかも死者の日当日は、パレードは開催していません!死者の日自体はちゃんと広場などで祝っているのですが、もしパレードに参加される場合は日程を確認して下さいね。
とにかく派手でフレンドリー
後ほど詳しくお話ししますが、メキシコシティでの前夜祭パレードは、とにかくド派手!そして賑やか、かつフレンドリーです。仮装して参加している誰もがみな、カメラを向ければニッコリ微笑んでくれます。あなたもその一員に、加わってみてはいかがでしょうか?
お墓も祭壇も観光スポット?
日本でお墓を巡るなんて、肝試しくらいしか思いつきませんよね?しかもなんだかバチが当たりそう。ですが死者の日前後のメキシコのお墓は、綺麗に装飾され一般公開(?)されていて、見て回ることが出来るんです!
これも死を明るいものと捉える、この日ならではの催しです。オフレンダと呼ばれる祭壇も見ものです。これは日本でいうところの仏壇や盆提灯に当たるのでしょうが、それが家の中だけではなく公園や広場にも見られるのが、なんともメキシコ流です。
お墓巡りならハニツィオ島
お墓の飾り付けは各家庭様々で、それを見て回るのは本当に面白いです。なんて言ったらちょっと罪悪感なのですが、死者の日に向けてのお墓は目立ってなんぼ!皆、気合いを入れて飾り立てています。人に見られる、見せることが前提なんですね。
そのお墓を巡るなら、アオハカ州やミチョアカン州。やはり先住民の割合が多い地域がこの伝統を受け継いでいます。その中でもミチョアカン州のハニツィオ島は、現地の人々の間でも「死者の日に訪れたい場所」として有名だそうです。
死者の日の夜や前夜祭に墓地を訪れると、蝋燭に灯された見渡す限りの幻想的な風景に、あなたも驚くことでしょう。
巨大なオフレンダをメキシコシティで
死者の日が近づくと、メキシコの街中のあちこちで見かけることが出来るのがオフレンダ。通常、雛壇のような階段状に飾られるので、公園の階段などにも現れます。
マリーゴールドをはじめとした生花や果物、紙で作った飾り、故人の好物などを飾ります。こちらも目立つことが何より!の派手さ。そんな派手さを競った巨大なオフレンダを見てみたい!という方は、メキシコシティがお勧めです。
メキシコシティにあるUNAM(メキシコ国立自治大学)のキャンパス内では、大型オフレンダの展示会が行われ、観光スポットにもなっています。
また世界最大のオフレンダは、メキシコシティからバスで1時間ほどの場所にあるメペテックで見ることが出来ます。
メキシコシティのパレードへ!
メキシコシティで行われる死者の日のパレード。実は最近始まったものなのです。それにはあの有名映画が関係していたなんて、知ってましたか?
映画「007」が火付け役?
皆さまご存知、映画「007」。その最新作「スペクター」の冒頭シーンでダニエル・クレイグ扮するジェームズ・ボンドが、骸骨の仮装で紛れ込んでいたのが現在メキシコシティで行われている「死者の日パレード」。
もう映画の中のパレードシーンは、今のパレードそのまま!公開後には、パレード目当てに世界中から観光客が押し寄せました。
ところが死者の日自体は祝われているのだけれど、実際にパレードなんてやってない。「騙された!」との、ブーイングの嵐に耐えかねたメキシコシティ、本当に映画の中のそのままのパレードを開催することにしてしまったのです。それがなんと2016年のこと。意外にも新しい催しだったんですね。
骸骨の貴婦人「カトリーナ」
パレードでもやはり主役は骸骨です。大きなオブジェになったり、人々が仮装したりと、この日のシンボルとして大活躍です!その中で、最も多くの人々が愛する骸骨キャラ「カトリーナ」。つば広の帽子をかぶった、貴婦人の姿をした骸骨です。
スカルメイクに正装というアンバランスの妙が好まれる「死者の日」の仮装。その中でもこのカトリーナの装いをする女性は圧倒的に多いのです。
メキシコの貧富の差が激しい時代に、「メキシコの貴族女性のパロディー」として皮肉を込めて描かれたのがカトリーナでした。風刺画として誕生したカトリーナ。陽気で明るい「死者の日」のアイコンとして未だに愛され続けているのも納得です。
ソカロでのイベント
メキシコシティ中心広場のソカロでは、その年のテーマに合わせた祭壇が飾り付けられるのも見ものです。毎年テーマが変わるので、その年だけにしか見れない限定アートでもあるんです!
また、有名アーティストなどによるライヴが開催される夜もあるとか。パレード以外にも、このソカロでのイベントも見逃せません!
アオハカに泊まるならココ!
伝統的な死者の日を楽しもう
伝統的な死者の日を堪能したいなら、お墓巡りなども含めアオハカが断然お勧めです!メキシコシティでパレードを楽しんでからアオハカに移動して、本場の祭礼を味わうのもありですよね。
アオハカまではメキシコシティから、飛行機で約1時間ほどで着くことが出来ます。そんなアオハカに泊まるならココ!というお勧めのホテルをご紹介します。
ホテルブティック パラドール サンミゲル オアハカ (Hotel Boutique Parador San Miguel Oaxaca)
このホテルブティック パラドール サンミゲル オアハカ (Hotel Boutique Parador San Miguel Oaxaca)は、死者の日の祭典会場にもなるソカロのほど近く、最高の立地にあります。外観も内装もメキシコの雰囲気溢れる可愛らしいホテルです。
Avenida de La Independencia 503, Oaxaca 68000, Mexico
¥9,095 – ¥16,506 (スタンダード ルームの平均価格に基づきます)
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パラドール サン アグスティン (Parador San Agustin)
ロケーションは抜群!パラドール サン アグスティン (Parador San Agustin)は、祭礼が行われる教会や公園へも、徒歩でほど近い場所にあります。加えてスタッフの対応も素晴らしく、食事も美味しいと評判です!
Armenta y Lopez 215, 68000 オアハカ・デ・フアレス, メキシコ
パラドール サン アグスティン (Parador San Agustin)
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ホテル カサ デル ソタノ(Hotel Casa del Sotano)
ホテル カサ デル ソタノ(Hotel Casa del Sotano)は、古風な魅力漂うロマンチックなホテルです。造りはこじんまりとした感じだけれども、それだけにとってもリーズナブル!このお値段でこのクオリティ、見逃せません。
Tinoco y Palacios 414 | Centro Histórico, Oaxaca C.P. 68000, Mexico
¥4,898〜
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「死者の日」とは活きること!
今回はメキシコのハロウィン「死者の日」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?コンセプトは日本のお盆のようでしたが、メキシコではご先祖様を厳粛にお迎えするというより、死者と一緒に自分達も活き活きと楽しんでいるという印象でした。
「死は生の一形態」「死があるからこそ生がある」そんな思いを溢れるパワーで表現していた気がします。そして、そうは言っても僅かに残る死への恐怖を、笑い飛ばす素敵なお祭りでもありました。是非あなたも「死者の日」へ、生きてるうちに行って見て下さい!
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